実況者のジャック•オ•蘭たんの実況で、テイルズオブジアビスのストーリーを見直して色々語りたくなったので書いてく。

今更、一言ならともかく長々タイムラインに感想流したくなくてサイト作った所大いにある。

昔プレイした時と全然違う印象 

まず序盤見てて思ったのが、アレこの話こんな救いのない話だったっけ?て事。

3周くらいプレイしたし、ストーリーライン自体は記憶と相違なかったけど、ここまでルークが苦しんで苦しんでる道中だった印象がなかった。

当時は周回特典の衣装引き継ぎで、不適切なシーンで変な格好にして設定された反応を楽しんだり、ギャグ系スキットで笑ったり普通のJRPGとして遊んでた。

プレイした時少なくとも中学生だったのに、自分に物心ついてたか怪しいレベル。

こんなに主人公にとっての救いを丁寧に潰した話あんまりないよね。

ルークの環境がアビス

自分的にストーリーを総評すると、世界を救うためにルークが道中で通過儀礼を経てしめやかに生贄になる話になってしまう。 なんでやアステカの生贄だって死ぬまでは丁重に扱われるんやぞ。

長髪ルーク昔は早く髪を切れとしか思ってなかったけど、現地主人公とは思えないほど現代人的価値観を持った普通のキャラだった。ライガを倒すのを子供の為に躊躇ったり、人を殺すのを怖がったり。

なんか異世界転移主人公みたいなキャラ造形だよね。実際館の中しか知らないルークにとって外の世界なんて異世界なんだけど。

それに対するパーティメンバーの対応が、異世界主人公が受けるのと違って超冷淡なのがおつれぇポイント。あの世界でルークの歳まで生きてる現地人なら、子供の頃には呑み込んでる現実なんだろうからしょうがないけど。ガイにはもう少し寄り添って欲しかったなぁ。

こうして少しずつルークが7年で組み上げた価値観が破壊された後、総仕上げでヴァンに裏切られ、仲間に見捨てられ短髪ルークとして真っさらに再誕するんですね。顔グラも目の大きさが違う。実にイニシエーション通過儀礼って儀式的に一度死んで生まれ変わる形式を取ることが多いって何かで読んだ。

短髪ルークにみんなが卑屈になるなよって言ってくるの嫌なんだよね。確かに卑屈な事言うけど、今までのルークの世界の根幹だったヴァンを否定されたんだから今の自分全てを否定するのはしょうがないだろ。

誰かカウンセラー呼んで!ルークの正しかった事と間違ってた事をひとつひとつ確認してあげて!それが出来るくらい余裕を持った大人がパーティにいないのがなぁ。聞いてるかね圧倒的年長者なのに精神年齢がティーンなジェイド君!

そして、唯一作中でまとまった時間平和だった途中の1ヶ月を自堕落に篭って過ごさせる地獄仕様。何をしれっとマルクトに帰ってるんだガイ。俺の主人はルークだからさ!とか何とかいってそばにいてやってくれよ。

ただ後の展開を考えると、このタイミングで人格の構築に成功して未練が出来てたら、さらにレムの塔で苦しんだろうからこれが1番幸せなストーリーラインなのか。

何も与えない事で逆説的にルークの生への未練減らして幸せにするのやめれ。

結局ルークに救いをくれたのは同じレプリカのイオン様だけだったね。

ただそれはレプリカとしての救いで、その死に様によってルークの進む道を決めてしまったけど。

オリジナルの呪縛を振り払って生き続けたいと思えなかったから、ルークは最後までレプリカとしてしか生きられず同族は同じレプリカ達しかいない。

イオン様も絶対同族としてルークにクソデカ感情抱いてる。ジェイドの次くらいにルークの正体に思いあたってるし、道中ルークが孤立して行く時も優しくしてくれるし。

記憶がないのにオリジナルへの感情をぶつけられる虚しさはイオン様も持ってるから、イオン様にとってもただ1人の同族だったんだろうな。

生き残るのがアッシュなのはいいんだ

そしてアビスの中でもトップクラスに物議を醸すエンディングについて。最後に帰ってくるのが誰なのかは昔から知ってたけど、見返した感想はトドメにエグいもの見たになる。

帰ってくるのはアッシュで全然いいけど、ルークの記憶を何故奪わせる!?

ティアが「記憶はルークだけのもの」って言うシーンがあって大いに共感してたのに、その上でアッシュに記憶だけ継承させる設定にするの悪魔か。アッシュも地獄だろそんなの。

1番気になるのが、アッシュがルークの記憶にどう折り合いをつけたのか開示されない所。どういうスタンスでルークとティアの約束を口にしたのアッシュは。

エンディングでアッシュが喋らないならそれでよかった。もっと言えば、アッシュが死ぬのがラスボス戦中か、直近のシーンなら今のままでもアッシュだけでも生き返ってよかったルークも残ってるんだねと思えた気がする。

アッシュが死んだタイミングが早すぎるのよ。アッシュの死亡をプレイヤーが消化出来る程度にはエンディングまで間が空いてるのが悪い。最後まで旅したルークじゃなくてとっくに死亡したアッシュが帰ってくるの?って気分になるじゃないか。

あるいは本編中でルークとアッシュが融合するでも良かった。記憶を受け取ったアッシュがどう変わったのかわかるし。ピンチの時にルークの記憶が同じガラス玉の内側のほうから呼びかけてきたらエモいよね。

でもいろいろモヤモヤするけどこの終わりだから記憶に残るってのも確かにある。これがジアビスなんだなぁ。

ジェイドとガイへの好感度が当時と逆転した

TOD2のロニとか兄貴分キャラが好きだから、昔プレイした時はガイが好きだった。

でも今ストーリーを見返すと、え?ここでこの反応なの?とか、そもそもルークがヴァンに操られるのを止められたのガイだけなんじゃ…… とか思い始めて昔より素直に好きと言えなくなってしまった。

そもそもガイが兄貴分キャラというの間違いで、本人の申告の通り友達の位置のキャラなんだ。ガイはルークの庇護者じゃない。

だからルークが精神的に座り込んでる時でも、隣に立って応援はすれど肩を貸して立ち上がらせて寄りかからせはしない。

私は本好きの下剋上のハルトムートとか、転生したらスライムだった件のディアブロとか主人公大好きなキャラが好きだから、微妙にルークに対してドライなガイが今見るといまいちに感じるらしい。

でも別にガイを薄情なキャラとは思ってない。ガイは他の誰よりも、ルークを人間として尊重して信じてるだけなんだ。だからルークが悩んでても立ち直れると信じて発破かけるし、一度平和になったら1人でも立派にやれると自分の道を進む事を選ぶんだと思う。

昔のガイはルークの「過去ばかりみていても先に進めない」って言葉に本当に救われたんでしょう。だから何も分からなくて不安なはずの状態でその言葉を言えたルークの意思を尊敬してるんだろうな。

でもルークはそんな強く無かったんだよガイ。だからこの物語は終わりなんだ。結果1番仲間が必要だった時に離れてしまう悲しみ。

ルークが何がなんでも生きるつもりになってたら最高に頼もしい仲間だったでしょう。

ただ序盤ルークがうぜぇだのダリィだの言ってチンピラ風に仕上がってのは、成育環境的にガイのせいだから反省してくれ。

ジェイドは見返すと哀愁漂ってて推せる

逆にジェイドは、昔は意味深眼鏡以上の感想持ってなかったけど、ルークへの感情の推移が分かりやすくて好きになった。作中でルークがポジティブな方向に影響できたのジェイドだけだと思う。

最初の方のルークに対する八つ当たりの仕方が小学生みたいで愛らしいよね。君本当にルークの七倍も生きてるの?幼馴染三人衆の中で大人になれたのピオニーだけじゃない?だから苦手なんじゃないの?

まぁジェイド視点で見たら、人間のレプリカの前例をネビリムしか知らないから警戒してきつく当たるのも当然ではある。まともな心を持ってると思ってなかったかも。ルークに当たってるというより自分の黒歴史に当たってたと思う。

スキットでルークはジェイドの息子みたいなもんじゃない?って言われた時の「私の息子だったらもっと利発だと思いますけどねぇ」ってセリフの言い方が本当にヤケクソで苛ついてて好き。

やっと自分が八つ当たりしてる事を受け入れて、変わろうとするルークを認め好意を持ち出した矢先に完全同位体の末路を察するの芸術点が高い。

サブイベントで1人前例を辿って、ルークの死を確信した時に何とか未来を変えるべく足掻くわけじゃなく諦めて奇跡に頼る所がなんかツボなんだ。

過去の自分の理論を覆す事ができず、別の未来を模索できる情熱が宿るほど若くもない。おじさんだからこその悲哀が好き。

本当はその絶望をぶっちぎるキャラに救われる展開までがセットで好きなんだけど。アビスは奇跡がおきないRPGだからしょうがない。

そこからさらに瘴気の中和の話で、自分の命で世界を救おうとするルークを何とか別の道に進ませようと必死にごまかす台詞がさらに後半ジェイドの趣をます。

映画のモンスターズインクで、女の子がスクラップマシンに入ったと勘違いして、ゴミブロックに変わっていくゴミ山を追いかけるシーンがあるんだけど、あの辺りのジェイドでそのシーンを連想した。

スイッチ押した後で自分の大事な物を捨ててしまった事に気づいて、機械を叩いてゆすって止めようとするけどどうにもならず出てきたゴミブロックを見つめるしかない感じ。

レムの塔から帰還後ルークの嘘に1人気づいて「いけない子ですねぇ」言う声が悲しそうで泣き笑いみたいな声であああぁ……

でもその経験を経て自分で封印したフォミクリー技術に向き合う気になったのは大きな成果だよ。

ルークが預言の外で唯一世界に残せたものだよきっと。

アビスはやはり名作

アビスって普通のRPGなら登場人物がパッション起こして奇跡をつかむ場面で、キャラが諦めて状況に流されるシーンが多い。奇跡全然起きない話だよね。

エンディングでローレライが今世界が滅びないなんて預言を覆したねびっくりみたいな事言ってくるけど、プレイヤーが求めてた奇跡はその程度ではない。

どっかでジアビスはシンフォニアのアンチテーゼで作ったって聞いた事あるから、構造として愛と勇気と希望では何も解決しない仕様なんでしょう。

もっとこうなって欲しかった、ああなら良かったって無限に出てくるけど、プレイヤーがキャラと世界の行く末にこんなに思いを寄せれるのやっぱ名作だなって思うんだ。

ストーリーの記憶に抜けはなかったのに、ディテールを見返したらこんなに感想が変わったのが自分的に衝撃だった。

ジェイドのキャラ造形はマジで気に入ったからいつか自分でこんなキャラの話を作りたい。 その時は奇跡を起こすキャラが救う話を書くぞ!