
陰陽師たちの日本史 読了
陰陽師、ロマンですよね。
先日妹(成人済)に安倍晴明の話を振ったら「誰それ」と言われて多大なショックを受けた私です。
でも言われてみると私も最初に陰陽師を知ったのがどこか思い出せない。
でも和ファンタジーの魔法職として、創作界に市民権を得ているロマンな存在。
だけど実際どんなジョブなのと聞かれると、式神を召喚したりして妖怪と戦う人と答える人もいれば、いやいや現実の陰陽師は星を見て暦を作っていた天文学者だからと答える人もいる。
結局なんなの?実在の陰陽師って何してた人なのって?疑問に答えてくれたのがこちら。
タイトル:陰陽師たちの日本史
発行日:2014年11月15日
著者:斎藤英喜
発行所:株式会社KADOKAWA
概要
百済から陰陽道の源流にあたる書物が輸入されたところから、明治維新で陰陽道が禁止されるまで、同時代の文献に出てくる陰陽師の記述を拾ったり儀式を紹介したりしながら陰陽道の変遷を書いた本書。
どうしても陰陽師のパブリックイメージを作ってる安倍晴明の活動した平安時代の紹介のウェイトが重くなる。
が、鎌倉時代以後もしぶとく権力に齧り付く役人系陰陽師と、安倍晴明を神格化しながら広く在野に散った民間系陰陽師の痕跡を拾っていて興味深い。
でも安倍晴明の活躍挟みたすぎて、前の話とちょっとしか関係ない晴明エピソード突っ込んで話が広がらないのはどうかとおもいましたね。
晴明が遅刻したせいで道長が待ちぼうけ食らったエピソードを面白いけど急に差し込まれても解釈にこまるぞ。
実在した陰陽師の解像度が上がった気がする
陰陽師は天文学者だったと言われても、じゃあ実務は何してたの?社会的地位はいかほど?みたいな疑問がこの本を読んだらちょっと解決して、平安時代のイメージに陰陽師が馴染んだ気がする。
あと枕草子が平安時代の日常資料としてあまりに有用すぎて畏怖。
美形の坊主の読経聞くの楽しみだわぁとか、河原で陰陽師の祓え受けるとスッキリするぅみたいのを現代に伝えてくれてありがとう清少納言、ベスト平安OL。
安倍晴明についても、時代ごとの解説を見ていくと、かくして物事に尾鰭がつくって実例を見せられてる気分になれて面白い。
伝説上、ショタ晴明が吉備真備から継承した事になってる秘伝の書物「簠簋内伝」。
が、実際は晴明自身が作者という事になっている書物で、しかも江戸時代の安部家の末裔から「そんな胡乱な本うちの先祖書いてないから!」とお気持ち声明されてたりする。
晴明への民間信仰の高まりが生んだ謎の入れ子構造があったり歴史と伝承面白。
凄腕プロモーターとして、陰陽道をカンブリア爆発の如く発展させて貪欲に名声を得てた割と俗物晴明が、死後超絶神格化されてびっくり伝説まみれにされたのを見てどう思うのか知りたいね。
陰陽道って信仰体系だったんだね
祝詞なら神官も唱えるし、何をする人を陰陽師と呼ぶのか漠然と疑問だったけど、つまり陰陽道って天体を神と見て構築した神話を使って術を使う技術体系なんだとわかった。
今の科学的な概念が開発されてなかった時代は、自然現象を理解できるものに落とすために神話が必要で、中国の天文、方術、陰陽の概念を使ってそれを作ったのが陰陽道なんだ多分。
神官、僧侶が先端の知識人だったのもきっと同じ事で、ついでに妖怪ウォッチの妖怪のせいなのねも多分同じ事。
陰陽道のリアリティラインはこの本で学べたけど、エンタメに振った陰陽師を学習するために私は「安倍晴明物語」を読まなければいけない気がしている。
罪本山ほどあるんだよなぁ。